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井手山岳会日本支部

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232回:井手山岳会日本支部登山のご報告  produced by H.Tanuma

 

期日:3月20日()〜21日(

 

行き先【北八ヶ岳/しらびそ小屋】

 

コースタイム:JR中央線「小淵沢」駅[854913]JR小海線「野辺山」駅[9461030]

JR小海線「松原湖」駅[10591110]〜唐沢橋[11351145]〜屏風橋[12051230]

こまどり沢[13151325]〜しらびそ小屋[1350750]〜屏風橋[835]

かもしか遭遇点[846]〜唐沢橋[852]〜稲子湯[9051105]〜唐沢橋[11201135]

JR小海線「松原湖」駅[1150]

 

予報ではこの週末、春の嵐がやってくるとのこと。元々、しらびそ小屋に泊まることが主目的であったから、なんの口惜しさも後ろめたさもない。兎にも角にも今日は小屋まで辿りつくだけ、ルンルンだ。

スーパーあずさ1号で小淵沢駅に着いても、松原湖駅まで行く列車まではなんとまあ1時間待ち。小渕沢でぼーっとしているもそれはそれとして一興だが、同じ時を過ごすならば高原の野辺山駅の方が宜しかろうということで、とりあえず913分発の野辺山止まりの列車に乗り込む。

出発するとディーゼルカーは唸り声を上げつつ驚くほどに高度を上げながら、次第にゆっくり大きく右まわりをする。左の車窓に見えていた甲斐駒ケ岳や鳳凰三山は次第に後方に移動し、やがて右の車窓から見えるようになる。この廻り灯篭のような景色の変化がなんとも言えず好きだ。この先、甲斐小泉までの沿線には点々とウッドハウスが並んでいる。こんな景色がいつも眺められるなんて羨ましい。

やがて、甲斐駒ケ岳は遠ざかり、さらに高原を縫うように、喘ぐように列車は進む。何年か前に放映されていた「高原にいらっしゃい」というTVドラマは、このような景色抜きには成立しなかっただろう。列車は甲斐小泉を過ぎ、甲斐大泉を過ぎ、清里を過ぎ、JR最高点を過ぎて野辺山に到着。隊長は直ちにバーナーを取り出し、時折風が吹き抜けるホームで野点。こんなにのんびりするのも久しぶりだ。

そうこうしているうちに、2両編成のディーゼル車がやってくる。結構人が乗っていて、座席が埋まっている。野辺山駅を出ると、千曲川の源流目指して森の中をひたすら西を目指す。信濃川上駅は、数少ない単独行を記録した駅として今だ記憶に鮮明だ。この駅に降りる理由の多くは梓山から甲武信岳を目指すか、秋山から金峰山なのだろうが、じつはちょっと地味な男山・天狗山の大展望も捨て難いのだ。信濃川上駅を過ぎると、千曲川に絡むように列車は進む。この辺りの千曲川は雪解けで増水していて、北原白秋の言うようなゆったりとした流れではなく、荒々しささえ感じる。

やがて松原湖駅に到着。しらびそ小屋手配の車に乗り込む(タダかと思ったが、後に小屋で一人800円徴収された。勿論、タクシーよりは遥かに割安なのだが)。松原湖から直進して稲子湯に至る道は工事中とのことで、スキー場の脇を抜けて稲子湯よりも上にある唐沢橋まで連れて行ってくれる。ラッキーだ。30分ほどで唐沢橋到着。駐車スペースはかなり車で埋まっているが、どうやらしらびそ小屋目当ての客は少なそう。たぶん、大部分は本沢温泉だろう。温泉の威力は大きい。しばらく沢沿いに進んだあと、斜面を絡むような登りとなり、軽便鉄道のレールが現れる。しばし、この軌道跡に沿って進む。ザックも重いが、やけに身体が重い。山を離れている時間が長いと、いつの間にか俗界のしがらみが身体に溜まっていってしまう。

シラビソやコメツガの暗い森を抜け明るい所に出ると、そこがみどり池に面したしらびそ小屋。見上げれば東天狗岳が輝いている。酒宴をするには、このシチュエーション以上のものは望めまい。受付を済ませたら、荷物を置くのももどかしく酒とつまみを抱えて早速池のほとりに直行。ワインに舌鼓を打ちつつつまみを食していると、匂いに敏感なダイキチ(小屋の番犬)が、うるさく吠え出す。仕方なく鰯の干物を提供。ほんのひと時だけ静かになるが、また吠え始める。2本目をあげる。静かになる。また、吠え出す。もう無視する。

そのうちに陽が東天狗岳の向こうに落ち、寒くなり始めたので、小屋の中に入りマキストーブの傍で2次会。今宵の宿泊者は我々を含め17名。定員が40名とのことで、3連休にしては空いてるということなのだろう。夕食後、社交力がアルコールで更に増幅された我らが隊長は、忽ち周りの登山客を巻き込み、休憩室は大宴会場と化す。

夜中に目が覚めると、外は暴風雨の様子。小屋が飛ばされるかとも一瞬思ったが、睡魔に勝てず直ぐにまた熟睡。朝、窓の外を見てみると、風雨はやや弱くなったもののまだ吹いているようだ。外に出てみると、降っているのは霙でも雪でもなく霰だった。上はガスっていて見えない。峠越えはあっさり諦める。

そうなると我々は帰るだけなので、朝食後ゆっくりと出発。気温1℃。霰はやがて止み、そのうち太陽まで顔を出す。あっという間に屏風橋に到着しアイゼンを外す。てれてれと右にカーブする車道を進んでいると、目の前にカモシカが佇んでいたのに気づいた。恐らくは、カモシカの方が先に気が付いていたのだろうが、それで逃げないところがカモシカたる所以。大抵の野生動物、例えばもっと大きいニホンジカでも、人間に遭遇するとこちらが声を出す暇もなく、それこそあっというまに視界から消え去るが(丹沢山あたりのニホンジカはちょっと違うが)、何故かカモシカだけは威風堂々としていて、人間などさして眼中にない風情。まるで山の精霊のようだ。きっと「もののけ姫」のシシ神はカモシカがモチーフに違いない。首だけ回して暫くこちらをじっと見ていて、用がなければわたしは行くよ、ってな感じでゆっくりと頭を戻し、去っていく(「用があるんですけどー」と言っても無駄だろうが)。何度出会ってもちょっと感動する。これだけでも山に来た甲斐がある(って、山に登って無いですけど・・・)

稲子湯で汗を流し、再び唐沢橋まで戻って、小屋手配の車に乗車。運転手は、小屋の若旦那の奥方だった。中央線が強風で遅れていて、送迎車の手配も調整が求められたらしい。

松原湖駅で列車を待つ間、待合室で昨日の残りのウィスキーを舐める。松原湖駅からは佐久平駅に出て新幹線に乗り込み。いつものように大宮駅で途中下車。相変わらずしぶとく営業している「いずみや本店」に入る。開店は朝930分というから驚く。居酒屋なのに、である。とは言っても、もちろん定食もある。我々が入るのはいつも昼下がり。今日は未だギャンブル帰りの客は少ない。相変わらずひとり連れの客ばかりが多い。この店には独特の空気がある。一杯やっていると、なんとなく他の客や熟年女性従業員を眺めることになる。すると、その人の人生まで見えてくるような気になる。さまざまな人間模様を感じる、不思議な癒し空間だ。今度、菊丸にこの店を題材にした本を書くよう、勧めてみよう。

 

実働時間合計:3時間10

今回の累積登高差:557
今回の踏破距離:6.6km

 

〜 以下クリックすると大きな写真がご覧になれます 

 

01】野辺山駅で途中下車。赤岳が神々しい。

 

02】野辺山駅でティータイム。

 

03】唐沢橋のゲート前で。

 

04】体が重い!ついでに荷物も重い!

 

05】あまり雪が無い。数日前の大雨で溶けたらしい。

 

06】もう半分来たらしい。なによりだ。

 

07】屏風橋。雪が殆ど無い。

 

08】樹林帯に入ると次第に雪の量が増す。

 

09】森林鉄道の軌道跡が見える。

 

10】いったいいつ頃まで使われていたのだろうか。

 

11】鉄キチでも、山が嫌いだと拝めないシロモノ。

 

12】みどり池まで「はっても」30分とあるが、とってもそんな距離ではない。

 

13】しらびそ小屋到着。ここだけ光に溢れている。

 

14】しらびそ小屋の番犬。ダイキチという名前らしい。

 

15】小屋の全景をみどり池側から。

 

16】池の奥には東天狗岳が輝いていた。

 

17】池は部分的に溶け始めている。

 

18】池の前で酒宴。至福の時間。

 

19】ダイキチがうるさく吠えるので、仕方なくつまみを提供。暫くは静かになる。

 

20】マキストーブはとても暖かい。

 

21】翌朝、外は霰が降っていた。夜中は暴風雨だったようだ。

 

22】降り方が凄いように見えるが、それほどでも無い。

 

23】後ろ髪をひかれつつ、小屋をあとに。

 

24】もう霰はやんだ。

 

25】屏風橋まで下ると陽まで射している。

 

26】雪解け水で出現した池。

 

27】やっ!かもしか!!

 

28】何か用ー?ってな感じのかもしか。

 

29】唐沢橋ゲートに到着。

 

30】稲子湯に入湯。あー極楽。

 

 

 

31】松原湖駅で列車を待つ。

 

 

32】ホームの向かい側はこんなに長閑。これを肴にウィスキーをやる。

 

33】山を振り返る。

 

 

 

 

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