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井手山岳会日本支部

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第221回9月特別企画:井手山岳会日本支部登山のご報告  produced by H.Tanuma  


期日:9月19日()〜21日()

行き先【八ヶ岳/編笠山(2,524m)〜赤岳(2,899m)

 

コースタイム:第1日目:JR中央線「小渕沢」駅[854](タクシー)〜観音平[9:20935]P1[10101020]〜雲海[1030]〜押手川分岐[11051115]P2[120512:10]〜編笠山[12401315]〜青年小屋[13351350]〜西岳[14401530]〜青年小屋[1620]

2日目:青年小屋[600]P3[645650]〜権現小屋[725750]〜権現岳[805]〜源治バシゴ[822]〜キレット小屋[935950]P4[11001110]〜文三郎道分岐[1126]〜赤岳山頂[11501220]〜天望荘[1250]

3日目:天望荘[630]〜地蔵尾根分岐[637]〜行者小屋[720735]〜美濃戸山荘[855915]〜八ヶ岳山荘[1000]・入浴〜(タクシー)JR中央線「茅野」駅

ルートマップはこちら     高度記録はこちら
(提供 Konochan

八ヶ岳は、日本(にっぽん)の中心にあって、すべてを手中に入れられる場所!…そんな気分を実感した山行でした。権現岳・赤岳に登った9月20日は正に「天下晴れ」。富士や南北アルプスはもとより、尾瀬、日光、奥秩父、小金沢連峰までぐるり見渡せて、自称「日本一の晴れ男」の隊長と山歴36年の副隊長をして、「こんなに一日中、全方位好天なのは初めて。」と言わしめた空の青さでした。
  1日目は小淵沢(スーパーあずさ1号利用)からタクシーで観音平に入り、スタートです。笹原の上はミズナラやカラマツの林。立ち枯れたリンドウや、今盛りのトリカブトに秋を感じながら樹林帯を進みます。1時間ほどで雲海に到着。名前の通り「雲海に浮かぶ富士山」がきれいに見える場所だそうですが、今日は天気予報が「晴れ」の割にはガスっていて見えません。やがて押手川(おしでがわ)の分岐を過ぎると、足下がだんだん岩っぽくなってきました。着々と高度を上げ、4〜5mの梯子も軽々と越えます。「東鎌尾根に比べたら、こんなのハシゴのうちじゃないね!(笑)」なんて、いっぱしの山ヤ気取りで進むと、木の高さが次第に低くなり森林限界に。シャクナゲやハイマツ優勢になり、ゴツゴツした岩が続きます。曇天の下、灰色の岩に雨粒かと見まがうような暗緑色の点々。「雨降ってきた?」「いや、違うよ、安山岩中の角閃石か輝石の斑晶。」(それにしても八ヶ岳も穂高や槍と同様、溶岩やスコリア(安山岩質の軽石)だらけだな〜。火山だから堅くて険しいんだね。)
  そして険しい岩礫を登りきり編笠山頂に到着。残念ながら山頂も雲の中で展望はほとんどありませんが、時々ガスの切れ間より主峰の赤岳方面が見え隠れしています。「明日は晴れてほしいね。」「きっと晴れるよ。台風も行っちゃったし!」編笠からは北東方向へ、ハイマツとシャクナゲの密生する斜面をまっすぐ下っていきます。ハイマツが切れると眼下の青年小屋まで荒涼とした岩石帯が広がっています。「副隊長の好きそうな岩場だね。」「うむ。こういう所、大好き。」副隊長は天狗に変身したみたいにピョンピョン先に行ってしまいます。そして青年小屋に到着。
  青年小屋にチェックインしてから荷物を置いて、西岳まで往復しました。青年小屋横のキャンプ地から西岳に続く源治新道は、八ヶ岳の幹線道とはうって変わって静かなる原生林。ゴゼンタチバナの赤い実と、シラタマノキの白い実が対をなして山道を彩ります。苔むした林床、もやもやサルオガセの巻き付いた木々、土の湿りとふかふかした感触が、いかにも深山幽谷という感じです。「カモシカに会えるかも。」「え?ほんと?会いたいな〜。」50分ほどで西岳山頂に到着。山頂広場は少し開けた岩場で、草紅葉の黄葉とマツムシソウのうす紫が静けさに色を添えていました。山頂の静寂を楽しんでいるとようやくガスが晴れてきて編笠山や赤岳方面が見えてきました。でも富士山や南アルプスまでは見えませんでした。菊丸と私が「カモシカに会いたい、会いたい。」としきりに言ったので隊長がいつの間にか自称「カモシカ」になってしまって「カモシカも満足したぞ。そろそろ戻るか?」「カモシカ〜、足の調子はどう?」「急に使って筋肉がびっくりしてるみたいだったけど、問題なし。」8月9日の怪我から奇跡の復活を遂げた隊長はさすがです。その後、夕方にかけて雲は少なくなり、傾く夕陽がギボシや権現岳を優しい表情に照らしていました。青年小屋の2階から見た夕映えの槍・穂高連峰は、ワインと焼酎とイカめしに加わるすばらしい酒の肴となりました。
  明けて2日目。夜明け前からわくわくしていました。だって、満天の星空が今日の好天を約束していたからです。風化した岩場は危ないので、夜明けを待ってから6時に出発。30分歩いて編笠山を見下ろせる辺りからが大展望の始まりです。狼煙(のろし)場付近では、左手の富士山、南アルプスから北アルプス・乗鞍岳までの大パノラマに感激しました。戦国時代、武田信玄はこのような狼煙場をあちこちに配置して、迅速な情報網として利用したそうです。
甲斐の郡内からここの狼煙を見たのかあ…と想像していると「おっと。」西からの強風にあおられてフラッとしました。今日は天気は最高だけど風が強い。「この先の鎖場や長い梯子を通る頃にはどうか風よ、止んでください。」すばらしい展望に元気をもらうとともに緊張もするのでした。西ギボシを越え、東ギボシをトラバースする辺りから鎖が出現。ネットで調べて「こんな長い鎖?ひえ〜怖いよ〜。」と言っていた菊丸もいざとなると果敢にクリアー。細かい節理だらけの安山岩は脆いので、落石に気をつけ、前の人と間を詰めすぎないようにしなくてはいけません。重たい荷物にハーハーもがいているうちにやっと権現小屋に着きました。後から、撮ってもらった写真を眺めるとこんなにいい景色だったのかと知り、もっと登っている最中に楽しめばよかったな〜と思いました。風は相変わらず強く、権現小屋の陰でみそ汁で暖まりながら朝食を済ませました。ふと見上げると、権現小屋の前には崖っぷちにトイレが二つ。(40の写真に写っています。)「赤岳展望小屋」と扉に書いてあります。戸を開けると目の前はガラス張りで、赤岳の雄姿を眼前に眺めながら黄金の水を崖下に散布する仕組みです。「なんと、洒落ていること!」少し赤面しながら天空での贅沢を楽しませていただきました。そして権現小屋を出発し、権現岳の頂上に乗っかりに行きます。山頂はとても小さいけど、最高です。筑波山、奥秩父や小金沢連峰、飛龍山まで、日本中が見えています。
  権現岳の次はいよいよ本日のメインディッシュ、キレット越えて赤岳です。その行程はまず61段あるという長〜い源治梯子を下りるところから始まります。強風で寒かったので起毛の手袋をしていた私は、手が滑りそうで本当に怖かった。一度恐怖を感じると足がすくんでしまって、落ち着け落ち着けと言い聞かせながらやっと下りきることができました。(教訓として、山から帰ってからすぐに滑り止めの付いた防寒手袋を買いました!)その後は旭岳の西側を巻きます。せっかく登った高度を損した気分になるほど下りていき、ツルネをゆるやかに越えてキレット小屋に到着。小屋前の日当たりのいいベンチに荷を置き、ほっとしたのも束の間、なぜか菊丸のリュックが谷側に転げ落ちるわ、ペットボトルが危うく崖へ転がろうとするわでひと騒ぎ。「もー!どーしてあたしはこんなにおっちょこちょいなんだろう?」ぷんぷん怒る菊丸。すかさず人の失敗に突っ込んで笑いを取る隊長。「エンターテイナーだねぇ。」とほほえましく見守る副隊長。ちょっぴりサザエさん的キャラの菊丸は井手山岳会のアイドルの一人。疲れてぼーっとしている時にも、元気で明るい気分を呼び込んでくれます。
  キレット小屋を後にして稜線上に戻り、2504m峰付近まで登り返すと、左手に、阿弥陀岳の南稜がよく見えます。このコースは「静かなる尾根歩き」(いわゆる松浦本)でも紹介されているマイナールートです。(一部ザイルが必要な場所もある篤志家コース!)さらに稜線上を進むと、赤岳の赤褐色の岩礫が立ちはだかり、傾斜が一気に強まります。「この勾配は前穂の4峰を彷彿とさせるな。」つぶやく副隊長。胸の内がわくわくしているのが伝わってきます。主稜線のルンゼを直登したりトラバースしたり。夢中で○ペンキ印をたどって登ります。岩は風化が進み細かい節理の割れ目が階段状になっているため、足をかける場所はたくさんありますが、落石には細心の注意が必要です。ハーハー息を切らし、でも、休むような平らな場所がないのでただただ登るのみ。天狗尾根の頭付近でやっと一息つきました。そしてさらにそびえる岩稜をひと登りしては真教寺尾根との分岐を過ぎ、またひと登りしては文三郎道との分岐を迎え、最後梯子のかかる岩場を乗り切ってとうとう赤岳山頂へ到着しました。さっそく記念撮影をしましたが、好天のシルバーウィークのためか次々登山者がやってきて、落ち着いて景色を楽しむというより、「どこで休もうか?」と場所を探すのが大変なほどです。頂上小屋は電話予約だけでもう満員だそう。では、ということで天望荘に行ってみることにしました。
  天望荘も混雑していましたが、ラッキーなことにちょうどキャンセルがでて個室が確保できました。その晩はウイスキーと、天望荘で買ったチリ産赤ワインを楽しみながら、夕焼けと満天の星と天の川を満喫しました。
  3日目は、地蔵尾根から行者小屋に下り、南沢を美濃戸口まで一気におりました。下山する私たちに対し、これから登っていく人たちの多いこと多いこと。頂上小屋や展望荘は今日も満員だろうなと、思いながら八ヶ岳山荘のお風呂で汗を流し、茅野駅前で仕入れたイカ刺しと山の余韻を肴にスーパーあずさで飲んだくれました。(Konochan)
  


 

今回の参加者:隊長、副隊長、Konoちゃん、菊丸

実働時間合計:13時間00

1日目:4時間40

2日目:5時間25

3日目:2時間55

今回の累積登高差:2161m

1日目:1161m

2日目: 901m

3日目: 99m


今回の踏破距離:20.1km(7.3km+5.0km+7.8km)


〜 以下クリックすると大きな写真がご覧になれます 

スライドショウの開始

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第1日目: 【01】出発は観音平から。標高1,560mまでタクシーが上がるのは有難い。

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02】辺りは笹原と落葉松林でいい感じ。

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03】誰かサンダルを落としたらしい。

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04】標高1,800m辺りで小休止。

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05】所々にトリカブト。

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06】「雲海」にて。菊丸はいったい何にうけたのか?

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07】押手川分岐を過ぎると次第に傾斜がきつくなり、岩っぽくなる。

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【08】編笠山到着。残念ながら天気がいまいち。でも気分は申し分ない。

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09】時々ガスが切れて赤岳方面が見え隠れする。

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10】見えた!あれが本日の宿「青年小屋」。

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11】青年小屋の手前は累々たる巨岩の山。

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12】青年小屋から見上げた編笠山。

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13】西岳目指して源治新道を行く。

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14】かわいい赤い実。ゴゼンタチバナ。

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15】コメツガに寄生するサルオガセ。深山を演出する大事な脇役。

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16】西岳到着。静寂なる山頂。ここも残念ながらガスの中。

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17】マツムシソウが可憐です。

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18】ようやくガスが晴れてきて編笠山が姿を現す。

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19】右がのろし場、正面はは右が西ギボシ左が東ギボシ。左奧は旭岳。権現は西ギボシの真裏で見えない。

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20】夕陽に照らされたギボシと権現岳。ちなみに手前は青年小屋のバイオトイレ。

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21】青年小屋の夕食。

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第2日目: 【22】朝焼けに浮かび上がる富士。まるで仙人のようだ。

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23】青年小屋を出発。「遠い飲み屋」とはなかなか洒落ている。

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24】西岳と穂高・槍連峰。

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25】いよいよ大展望の始まり。バックは鳳凰三山あたり

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26】編笠山と南アルプス。こんな景色ではエネルギーが湧いてこないはずがない。

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27】こちらは西岳方面。遠方の山は御嶽山、乗鞍岳など。

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28】ギボシの北西側はこんなに険しい。こわごわと痩せ尾根を進む。

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29】クサリ場出現。

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30】青年小屋がだいぶ下に見えるようになる。

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31】奥に見えるのは狼煙場。天気は最高だが風が強い。

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32】トラバース中。

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33】またクサリ場。でも気分は上々。

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34】菊丸、鎖と格闘中。

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35】高度感も最高。

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36】再びトラバース。

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37】ギボシを越えると八ヶ岳主峰が見えてくる。

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38】権現小屋で昼食。日蔭はけっこう冷える。

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【39】後続のパーティはギボシをトラバース中。奥は御嶽山。

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40】こんな処によく小屋を建てたものだ。

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41】権現岳山頂。

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42】被写体の方々はまったくの赤の他人だけど、なかなか良い構図だったので・・・。

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43】またまた南アルプスと編笠山。それにしてもこんなに良い天気は初めてかも知れない。

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44】こちらは奥秩父方面。日本全部が見えそうな感じ。

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45】さて、これからいよいよ赤岳に向かう。

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46】旭岳山頂付近から権現岳をバックに。

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47】名物の「源治バシゴ」を下る。ちょっと顔が強張る。

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48】だってこんなに長いから。

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49】菊丸も果敢に挑戦。

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50】もうこんなに下ってきた。

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51】赤岳を目の前にして下り続けるのはちょっと切ない。

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52】キレット小屋到着。目の前は大天狗の岩峰。

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53】この小屋はとっても新しい。それもそのはず、この6月にリニューアルオープンとのこと。

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54】右の尾根は阿弥陀岳南稜。また行ってみたい。

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55】これから先は将に胸を突く勾配。

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56】なかなかザックを降ろす処が無い。で、どんどん登るだけ。

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57】もうクサリ場も飽きた。

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58】こんな傾斜でグズグズの岩なので落石にご用心。

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59】はるか下にキレット小屋。

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60】もう大天狗の高さを越えた。ここから見るとちょっと柔和な風貌。

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61】この辺りで漸く一息を入れることができる。

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62】真教寺尾根との分岐

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63】権現岳と大天狗と。

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64】阿弥陀岳と北アルプス連峰。

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65】文三郎道から蟻ンコの如く登山者がやってくる。

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66】山頂まであと一息。

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67】ここを越えれば山頂。

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68】文三郎道との交差点。あれま、あんな方からヒトが!という感じのご婦人。

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69】赤岳山頂に到着。これで当初の目的は達成。山頂には次々に登山者がやってくる状態。

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70】頂上小屋は満員とのこと。で、下の天望荘に降ることに。

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71】人気が高い天望荘の夕食。ビュッフェスタイルでどうぞ。

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72】御嶽山と乗鞍岳の間に沈む夕日。天望荘の食堂から。

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第3日目: 【73】翌朝。富士山は雲海に浮かぶ小島のよう。

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74】御来光。

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75】日本人にとって、御来光は特別なのである。

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76】阿弥陀岳の北西稜に朝日が当たった瞬間。

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77】天望荘の弁当。すでにミニ大福1個を消費した状態。

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78】阿弥陀岳をバックに。

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79】さて稜線に別れを告げて、地蔵尾根を慎重に下る。

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80】下に見えるのは行者小屋。

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81】行者小屋到着。まだ朝日が当たっていないので寒々しい。バックは赤岳西壁。

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82】行者小屋から見る大同心と小同心。

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83】阿弥陀岳。北稜と北西稜が顕著に見える。

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84】山を降りる日。

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85】美濃戸山荘到着。下る登山者よりも登る方がずっと多い。明日も山頂は大盛況か。

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86】美濃戸山荘から赤岳に最後の挨拶。

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87】美濃戸口まではまた落葉松林。


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