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井手山岳会日本支部

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第220回:井手山岳会日本支部登山のご報告  produced by H.Tanuma

期日:8月29日()

行き先【小金沢連嶺/南西尾根〜大蔵高丸(1,781m)

 

コースタイム: JR中央線「甲斐大和」駅[9:04](タクシー)〜大蔵沢林道ゲート[9:159:25]〜巡視路入口[9:37]203号鉄塔[10:0510:15]〜分岐[11:0011:10]〜落葉松林[11:5012:00]〜縦走路[12:44]〜大蔵高丸[13:0013:25]〜湯の沢峠[13:46](途中、足のクールダウン)〜やまと天目山温泉[15:20]

ルートマップはこちら     高度記録はこちら
(提供 Konochan

 

この季節、実は日帰りの企画は難しい。かなり困る。何故か。日帰りの山の場合、沢以外はどこへ行っても「暑い」ので、なかなか食指が動かない。基本的にクーラーの利いたところで涼んでいたいのである。一方で、もうひとつ問題がある。日帰り区域の主だった登山ルートには、ほぼ我々の足跡が刻まれてしまっていて、結果として、地図に点線の無い尾根ばかりが候補として残っている。このようなルートは、夏は多かれ少なかれ藪漕ぎとなる可能性が高い。藪漕ぎそのものを厭うつもりはないが、ただでさえ暑い夏がもっと暑くなってしまう。それはちょっと困る。で、夏の日帰りは食指が動かなくなる。

それでも今回、Konoちゃんからあえて(というか、よりによって)バリエーションルートの要望があったこともあり、ならばということで多少勇気を奮い立たせて、かつ多少自虐的に選択した大蔵高丸南西尾根は、かねてより(冬枯れの季節用に)頭の中にあったルートの一つ。ほぼ尾根全体が自然林に覆われていると期待できるのも条件となっている。勿論、最高到達点である大蔵高丸は1,781mあるので、多少は涼しかろうという魂胆もあった。お花畑があるもの良しとしよう。そして更に蛇足ながら、立ち寄り湯(今回はやまと天目山温泉)のことは言うに及ばず。握り寿司とガリ、うな重と肝吸いとの関係よりも深く、既にパブロフの犬的に刷り込まれているのである。

いつもの高尾駅801分発甲府行きで、甲斐大和駅に降り立ったのは山ヤでは我々のみ。そりゃまぁまだ夏だからね。世間の行動は素直なのだ。予約してあった勝沼観光タクシーに乗り込み、やまと天目山温泉手前から大蔵沢林道のゲートまで入ったところで下車(2240)。日差しは強いが日蔭は程々に心地良い気温。しばらく林道を進むと記憶にあるトンネル。登りたい尾根はこの上なのだが、こちら側からは取り付けそうにない。トンネルを潜ってみると果たして右側に明瞭な踏み跡。これが東電サマの巡視路であるのに間違いない。今日もお世話になります、と登り始める。でも考えれば、踏み跡が自然に戻らないように踏み固めてあげることにもなる訳で、共存共栄なのかも知れないと思いついた。どうです東電サン?

のっけから急勾配(だいたい何処もそんなものだ)。忽ち汗が噴き出てくる。登り始めてすぐ、標高1,170m付近では東斜面を伐採中で、頗る眺めが良い。頭の上にはワイヤーが張り巡らされていて、尾根上にいた若い作業員がはるか下の重機操作員と無線交信中。我々の通行で作業が中断された様子で少々恐縮する。その作業員に「またここを降りてきますか?」と問われたので、否と回答。出来ればそのような状況は御免蒙りたいとの願望でもある。それにしても昨今、巷で林業の衰退が言われているなかで、このように重機を駆使した作業が行われていて、しかも若者がそれに携わっているのを見ると、日本の林業の未来も捨てたものでもないと感じ入る。ついでに伐採だけでなく林地残材の活用にも力を注いで頂きたいものだ。

203号鉄塔で一本入れる。風が無く暑い。汗を拭き拭き休んでいると行く手彼方から熊鈴の音。何故かなかなか近づいてこない。やがて現われたのは一見、地元の人のような服装の初老のご仁がひとり。高尾山参道の土産物屋で売っているような杖を突いている。この時間(まだ10)にもう大蔵高丸からここまで降りてきたような感じがしない。「これから登るんですか」と言いつつ通り過ぎていくご仁の後ろ姿を見ていると、なにやら狢か狸が人間に化けたものの、まだ二本足で歩くのに慣れていないような足取りに見えてくる。ふっと冷たい風が吹き抜けたような気がした。

ともあれ標高1,400mあたりから尾根はゆったりとした起伏に変わる。ミズナラ林のそこここにマルバダケブキの群落もあって癒される風情。1,452m点を過ぎたところで、巡視路は尾根の左に外れていく。そして1,550mあたりからいよいよスズ竹。この程度であればルートを見失うようなことにはならないものの、五感と第六感を働かせて進む、微かな緊張感が程良い。

一旦下り、大蔵沢源頭から1,650m辺りまでの登り返しは背丈を越えるスズ竹の密藪。一般に藪は「漕ぐ」ものと言われているが、スズ竹はしなやかなので「泳ぐ」という方が相応しい。一方、上越国境以北のネマガリ竹の場合は「もがく」、ハイマツであれば「格闘する」という表現が適当と思われる。で、暫し泳ぐ。Konoちゃんもクボッちも楽しそうだ。藪漕ぎで喜んでもらえるとは思わなかった。病みつきになるとちょっと困るけど。そのうち今度「格闘」しに行きますか。やがて藪から一旦解放される。山頂と思しき方向はスズ竹に覆われているようなので、それを回避するように時計回りに迂回し再び藪に突入すると、唐突に縦走路に飛び出る。歩き易さの違いに思わず笑いがこぼれる。

もう山頂までは楽ちんな道を辿ってひと息。お花畑はやや盛りを過ぎていて、富士山の眺望も得られなかったが、それほど問題ではない。過程が充実すれば、幸せのハードルは自ずと下がるらしい。そのうちに、30名程度の中高年大パーティが入れ替わり立ち替わり2組やってきて賑わう。それぞれ湯の沢峠登山口と湯の沢峠に貸し切りバスを待たせているようで、引率者は時間を気にしている様子。

我々にはそんな恩恵は無い。焼山沢に沿ってひたすら下るのみ。途中、沢の水に足を突っ込んで昨年と同様にクールダウン。これも病みつきになりそう。あとは再び道に戻り、林道を淡々と下れば、やがて「やまと天目山温泉」。湯に入る前に先ずビール。これは既に病みつきになっている。入湯後、締めは立川の居酒屋。負傷の癒えていない隊長も合流し、宴。Konoちゃんの携帯に子息から「早く帰るって言ったじゃん!」という苦情メールが入ってきたのはその時だった。

今回の参加者:副隊長、Konoちゃん、クボッち

今回の実働時間:5時間00

今回の累積登高差:1,012
今回の踏破距離:12.2km


〜 以下クリックすると大きな写真がご覧になれます 
(スライドショーはこちら

01】登り口で。なぜかこんなところに道標があった。遊歩道か?

02ゲートをこえて。

03あの203号、202号(赤白)鉄塔を目指す。

04トンネル南側口の脇から送電線巡視路へ。

05最初は(いつも)結構急だ。

06伐採作業中だった。

07203号鉄塔。

08このあと前方より熊鈴の音が聞こえてくる・・・。

09背後が203号鉄塔。結果的にここまでが一番急な登りだった。

10ススキをかき分けながら赤白色の202号鉄塔に到着。

11202号鉄塔。鉄塔おタクにはたまらないアングル。

12このあたりは落葉松林。

13巡視路はここで左折(くぼっち)、我々の行く南西尾根はまっすぐ(副隊長)。

14】マルバダケブキ。盛りはちょっと過ぎているがなかなか見事。この先もしばらく続く。

15いい感じのミズナラ林。

16標高1550m付近からスズタケが登場。

17まだスズタケの背丈はこんなもの。

18】すごい笹だね」と言って写真に撮ったが、あとで見たらこの笹のどこがすごいのか分からない。芝生程度にしか見えない。

19いい笑顔です。なんだか藪漕ぎ楽しそうだ。

20クボッち、藪の中で娘と電話中。娘より藪漕ぎを優先したらしい。

21だいぶ背丈が高くなって、ルートが探しにくい。しかしこれが醍醐味でもある。

22笹やぶの上は落葉松林。

23大蔵沢源頭への下り。前方には木々の間から大蔵高丸が視認できる。

24大蔵沢源頭部を確認する副隊長。

25そしてまた藪漕ぎ。足元は糠っている。

26この辺りが最も藪の密度が高い。それでもいくつかけもの道が交錯しているようでもある。

27突然、縦走路に出る。

28笑顔もこぼれる。

29かわいい赤い実。藪から登山道へ出たあたりにあった。

30大蔵高丸山頂。もともと曲がっている標識によりそったらみんな曲がってしまいました。

31今日たどった鉄塔ルートを振り返る。

32お花畑は葉祥明の絵のよう。

33ハクサンフウロ?カイフウロ?それともタチフウロか?

34教わったのに…名前忘れました。←(副隊長)マツムシソウです。

35湯の沢峠に到着。中高年大パーティに遭遇。

36湯の沢峠避難小屋から沢沿いの道へ

37沢でクールダウン。冷たい〜

38気持ちい〜!

39萩の花も見頃。

40やまと天目山温泉に到着。まずはビールだー!

41やまと天目山温泉から、今まで辿ってきた南西尾根が見える。


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