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井手山岳会日本支部

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第219回特別企画:井手山岳会日本支部登山のご報告  produced by H.Tanuma

期日:8月1日()4日()

行き先【北アルプス/表銀座(中房温泉〜槍ヶ岳(3,180m))


コースタイム:
1日目:JR大糸線「穂高」駅[9:5910:05]〜中房温泉登山口(1,462m)[10:5011:05]〜第2ベンチ(1,820m)[12:0512:15]〜富士見ベンチ(2,200m)[13:2513:35]〜合戦小屋(2,363m)[14:0514:35]〜燕山荘[15:35]
実働:3時間40


2日目:燕山荘[4:05]2,678m峰手前で日の出[4:555:00]P1[5:405:50]P2[6:407:05]〜大天井ヒュッテ[8:008:40]〜貧乏沢入口[8:58]〜ビックリ平[9:04]P3[9:5510:05]〜ヒュッテ西岳[10:4511:05]〜水俣乗越[12:16]P4[12:2512:55]P5[13:5514:05]〜ヒュッテ大槍[14:4014:45]〜殺生ヒュッテ[15:00]
実働:8時間25分

3日目:殺生ヒュッテ[4:05]〜東鎌尾根分岐[4:43]〜槍ヶ岳山荘・山頂往復[4:507:40]〜坊主岩[8:308:40]P6[9:259:35]〜水俣乗越登山口[10:10]〜槍沢ロッジ[10:4511:25]〜一ノ俣[11:4511:50]〜槍見河原[12:14]〜横尾[12:5013:15]〜徳澤園[14:00]
実働:5時間35分(槍山頂往復を除く)

4日目:徳澤園[7:40]〜明神[8:308:40]〜河童橋[9:409:50]〜バスターミナル[10:00]

実働:2時間00

参加者:隊長、副隊長、アユラシ、菊丸、Konochan
実働合計:19時間40
累積登高差:3401m(1244m+1529m+533m+95m)
踏破距離:37.7km(4.4km+12.5km+14.0km+6.8km)

ルートマップはこちら     高度記録はこちら
(提供 Konochan

 

今年の夏山特別企画は槍ヶ岳。3年前の表銀座縦走と昨年の奥穂高岳&前穂高岳に続いての、北アルプス珠玉のプランです。夏の特別企画としては過去最高の5名の参加となりました。

1日目はJR穂高駅からタクシーで中房温泉に入り、燕岳登山口から登ります。今回、もっとも心配されたのは天気。普通なら8月第1週は最も天気の安定した時期です。それなのに、梅雨明け宣言後の長雨なんて、今年はいったいどうしたことでしょう!心配は的中。登り始めて間もなく降り始め、傘をさしての登山となりました。
 燕山荘までは尾根を1240m登る計算です。コンスタントに急登が続き、「う〜ん、きついけど、まあ、効率よく登っているのは確かだね〜。」などと言いながら高度を稼いでいきます。合戦小屋で昼食。本格的だった雨が少し小降りになりました。西瓜も食べてちょっと一段落。しかしこの寒さです。「アユラシ〜☆彡(笑)久しぶりだね、握手しよ〜!」隊長の手はすでに真っ白。暑がりアユラシの「ポカポカ手」で温めてもらってから登はん再開しました。やがて森林限界を超える辺りからウサギギク、イワカガミ、チングルマなどの高山植物もお目見えし、歓迎ムードです。そしてとうとう霧にけぶる燕山荘が。「見えた〜!」「あと一息だ。がんばろう。」雨にもかかわらず、予定通り実働4時間程度で着きました。
  燕山荘からは目と鼻の先に燕岳。元気な菊丸とアユラシは、せっかくだからと空身で燕岳頂上へ。すでに経験済みの隊長・副隊長と、本日体調不良の私(Konochan)は残って先に酒盛りを始めました。(菊丸の燕岳レポートはこちら。)隊長持参の白・赤ワインと鮭トバで1日目の夜は更けていくのでした。

  さて雨の2日目。今日は勝負の日です。悪天候は必定。その中でどこまで槍ヶ岳に近づけるかがかかっているからです。地図とにらめっこで予習をしているときからそれは考えていました。(…最悪でもヒュッテ西岳までは行く。大天井に寄るかは時間と天気次第。3日目の槍ヶ岳アタックと下山のことまで考えるとなるべく上まで上がっておいたほうがいい。槍ヶ岳山荘(肩の小屋)まで上がれば後が楽だけど、おそらく8月第1週は一番混んでいる日だ。韓国のツアー客もいるかも。私としては一つ手前、喜作さん縁の「殺生ヒュッテ」に泊まってみたいな。)と。予習用の地図で2日目のゴールを殺生ヒュッテにしていたのはそんな理由でした。それにしても燕から喜作新道・東鎌尾根へは累積登高差が1500m、歩く距離は12.5km。手ごわいルートです。その上私事ですが昨日から貧血で体調がよくない。でも、がんばらなきゃ。
  朝は3時に起床、雨がひどいので弁当を半分食べてから4時に出発しました。燕山荘を出たのは我々が一番手。暗い中ザクッザクッと音たてて、風化した花崗岩の道を進みます。蛙岩(げえろいわ)を過ぎ、2678m峰にさしかかる辺りで夜が白々と明けてきました。「槍が見えるよ。」Y字型雪渓の上に槍の秀峰が!慌ててカメラを取り出したがあっという間にピークは雲に包まれてしまいました。「今日は晴れてたらず〜っとこの峰々を見ながら気持ちよく登れるはずだったのにね。」「そうだよ。でも、逆に『ずっと見えてるのにまだ着かない』ってうんざりもするもんだよ。」「なるほど。たまにご褒美で見える良さもあるのね。」そして夜明け。雨も小休止です。東には黎明の空に映える有明山が。「『ほととぎす啼きつる方を眺むればただ有明の月ぞ残れる』この歌は僕にとっては有明山に懸かる月のイメージなんだよね。」副隊長は無口な中に時々エッセンスのようにもれる言葉に重みがあります。私のように思いついたことをすぐ口に出す凡人はこの品格を見習わなければ。
  さて、夜が明けてからは大下りと登り返し。イワギキョウ、ニッコウキスゲ、コバイケイソウなどの可憐な花に励まされながら鎖場をぬけ、喜作レリーフに到着。分岐点から、霧の中に大天井岳の雄姿が浮かびます。「大天井山頂はどうする?」「せっかくだけど……見晴らしも無いからパス!」いよいよ喜作新道の始まりですが実はこのころが一番ヘロヘロでした。でも大天井を巻いているときに、雷鳥のつがいに遭遇するというご褒美がありました。菊丸とアユラシは燕岳に続いて2度目でした。
  間もなく大天井ヒュッテに着いて2回目の食事を摂りました。さてここまでで今日の行程の5分の2。燕山荘からここまでですでに4時間かかっています。大天井ヒュッテのお兄さんいわく、ヒュッテ西岳までも同じ時間かかるという。4時間かかって西岳が1時になるとその先の水俣乗越の難所が苦しいか…。ここからが本日の正念場。幸い雨はさほどでもなく、先導する副隊長のピッチがあがりました。それまで「もうちょっとゆっくりにしてください。」とゼーゼー言っていた私もみんなからチョコレートやポカリスエットをもらい、目薬を差して何とか頑張ってついていきました。すると、このペースが功を奏してなんとヒュッテ西岳に11時前に着くことができました。(大天井ヒュッテから2時間ちょっとという快挙。)
  よし、ここから槍に向かって右折、東鎌尾根の始まりだ。あと3時間半くらい。「行けるぞ、上まで。」と、思いました。ヒュッテ西岳の玄関先でホットミルクをいただき、早々に再スタートです。
  西岳からの急降下は、東鎌尾根一番の難所です。梯子・鎖も多く、200m一気に下りてすぐ50m登り返すなど油断できません。水俣乗越のさらに先には一番長い梯子が。キレット状になっているその場所は超長梯子を3本下り、やせ尾根崖の綱渡り、また這いつくばって梯子を上る…という感じ!その後も変化に富んだ道。「ヒュッテ大槍まであと○○分」の立て札や「さっきより顔色がよくなったね。がんばれ。」の言葉に励まされつつ夢中で登っていたら、山かげからヒュッテ大槍が突然姿を現しました。「やった〜!着いたぁ。」ほっとしたのも束の間。隊長が聞きました。「ここに泊まるか?先に行くか?」「…殺生ヒュッテまで…行く!」だってあと20分だもん。「お疲れ様!」という歓迎ムードだったヒュッテ大槍を出て、初志貫徹殺生ヒュッテに着きました。
  後から副隊長が述懐するには、ヒュッテ大槍に着いた瞬間、「ここまで来れば今日は上出来だ。」と、半分そこに泊まる気分になっていたそうです。でも私のわがままと勢いで殺生小屋まで来てしまいました。結果的にはすいていたし、静かにウイスキーやハイボールが楽しめて正解だったのですけどね。

「山に登るときはみんな運命共同体なんだよ。」とは、去年、私が骨折して皆に迷惑をかけたと辛がっている時に、副隊長が言ってくれた言葉です。今回も、ここまで無事来られたことを皆に感謝して2日目の晩は過ぎました。殺生ヒュッテから見上げる槍ヶ岳は「明日は晴れるぞ。楽しみにしておいで。」と呼んでいるようでした。

いよいよ3日目。やったね、快晴!夜明け前から、満天の星空です。東にはオリオンが、頭上にはぺガスス座とおうし座、肩の小屋の背後へ銀漢(天の川)が流れ込み、白鳥座はそこに大きな翼を広げています。
  4時に殺生ヒュッテを出発、もくろみ通り肩の小屋に着くころに日の出になりました。感動の写真を取りまくり、いよいよ槍の頂上へ。5時に登り始め、渋滞のため頂上に着いたのは6時。笠ヶ岳、黒岳、大天井、東鎌尾根、常念、槍沢と八ヶ岳・南アルプス、そして穂高連峰!!360度のパノラマに「昨日まで2日間の雨の憂さが吹っ飛んだね〜!!!」みんな大喜び。皆、ありがとう!本当に本当に来てよかったね!
  感動を胸に下山。下りるときには登ったときの苦労なんて半分忘れているのが人間の勝手なところです。かんかん照りの槍沢は暑くて暑くて大変。これから槍に向かって登ってくる人と大勢すれ違いながら「いや〜!今登って来る人たちにゃあ悪いけど、この槍沢を登る気はしないな〜。やっぱ、東鎌尾根がよかったよね!」とアユラシ。「うん、うん!」と内心思いながら大きな声では言えないけどと、みんなニヤニヤしています。沢はごつごつした岩だらけですが、副隊長はぴょんぴょん軽やかに石の上を進みます。「こういう石のごろごろした所って好きなんだよね。」私も真似したいけど、あんなに軽やかにはできません。でもなんとか「ひざを柔らかく」を意識して後をついて行きました。
  下山中は去年のこと(骨折)もあるからことさら慎重に歩きました。でも疲れてきたためか、菊丸が転んでしまいました。幸いひざを少し打った以外は無傷。あ〜よかった。それにすぐ後ろに隊長がいてくれたから安心です。「そういえば、槍に登る順番待ちのときも一度、何でもないところでバランスを失いかけて助けたことがあったっけ。」「それって、命の恩人一歩手前ってことじゃない?」「そーだよ。だから菊丸、今夜もサービスマッサージスペシャルコースだぜ!」
  徳澤園のお風呂でゆっくり汗を流し、アユラシの日本酒と焼酎で仕上げした後はマッサージと安堵感でみんなぐっすり眠りました。
  翌日は、明神橋から嘉門次小屋の前の木道コースを散策し、下界(上高地バスターミナル)でアイスを食べ、タクシーで松本に行きお蕎麦で仕上げして「スーパーあずさ」で帰りました。お手洗いに行った菊丸がなぜか八王子で降り忘れて車内から手を振って新宿まで行っちゃって唖然!!楽しい合宿は「笑い」で幕を閉じました。

〜 以下クリックすると大きな写真がご覧になれます 

1日目:01中房温泉の登山口をいざ出発。

022ベンチで小休止。未だ雨は落ちていない。

03雨の中、合戦小屋にて、温もりを求める人々。

04ウサギギク。

05アオノツガザクラ。

06ハイマツとダケカンバの低木と高山植物の道を行く。

07見えた!あれが燕山荘。

08シナノキンバイの群落。

09燕山荘に到着。燕岳も辛うじて見えた。

10アユラシと菊丸が燕岳登頂時に遭遇したライチョウの家族。

11燕山荘の周囲はこんな状態で視界は不良。

12燕山荘の夕食。

13夕食時には山小屋主人によるホルンの演奏。

2日目:14翌朝、雨にもめげず4時出発。

152678m峰手前にて、かろうじて日の出。

16有明の有明山。

17大下りの底からの登り返しには励ますようにイワギキョウ

18雨が小止みになったこともある。

19切通岩の下り。雨なので慎重に。

20ハクサンシャクナゲもちょうど見頃。

21コマクサ。北アルプスの主人公。

22大天井ヒュッテで大休止後。外は本格的な雨。

23この辺り、稜線から外れると緑が濃い。

24 「貧乏沢入口」の表示には驚き。北鎌尾根から槍ヶ岳にアタックする知る人ぞ知るルート。

25ビックリ平に到着。残念!ビックリするような展望は皆無。

26道を通せんぼしている猿に遭遇。

27西岳ヒュッテ。もうちょっとがんばってみよー!

28この先は急降下。

29不安定なところを慎重に下降。

30水俣乗越に到着。右下は大曲(槍沢)へのエスケープルート。

31長―い梯子を下る。

32梯子は下から見上げるとこんなに長い。

33下には槍沢。天気が良ければ気宇壮大な景観のはずだが・・・。

34殺生ヒュッテまでもうひと頑張り。

35ヒュッテ大槍から殺生ヒュッテまでの道。左手は槍沢の雪渓。

36殺生ヒュッテから見上げれば、残照に浮かぶ槍!

3日目:37今日も4時出発。しかし気分は昨日とは全く別。

38もう直ぐ日の出。もう常念岳は下に見える。

39槍の穂先と日の出。

40南アルプス連山。その先には富士山も。

41小槍!この上でどうやってアルペン踊りを踊るんだろう?

42登頂待ちで渋滞中。

43槍ヶ岳山荘と、笠ヶ岳山腹に映し出される槍影。

44アユラシ、登ってきて!ここが頂上だよ!

45来年はあの笠ヶ岳に行きたい!と、隊長。

46歓喜の登頂。パノラマはこちら

47穂高岳。

48ヘリは働き蜂のごとく。

49「あれの操縦もやってみたいなあ」と副隊長。

50後ろ髪を引かれつつ下山。

51殺生ヒュッテでも荷揚げ中。

52こんな晴天は久しぶり。

53東鎌尾根を振り返る隊長と副隊長。

54だんだん上り下りの往来が激しくなってきた。

55一人雪渓を行く副隊長。涼しそう。

56西岳を見上げる。

57東鎌尾根ともさようなら。あのキレット状のところが昨日の大梯子の場所。

58クルマユリ。

59槍沢ロッジで大休止。

60一ノ俣谷。

61槍見河原にて。槍ヶ岳の見納め。

62屏風岩がお出迎え。

63横尾に到着。

64辿ってきたコースを振り返る。

65新村橋から望む奥又白谷。

66ついに徳澤園到着。

67徳澤園の夕食。山小屋とはやっぱり違う。

68旅館なので当然浴衣なのである。

4日目:69朝の散歩。大自然に抱かれる。

70徳澤園の朝食。

71晴々として徳澤園を出発。

72明神にて。

73明神橋。

74焼岳と六百山。

75河童橋から見た岳沢と穂高連峰。ああ、来年までさようなら!


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